TOCを実践しようとするときに、必ず乗り越えなければならない概念がいくつかある。
その一つに「スループット」という概念がある。
TOCでいうところの「スループット」とは、システムが生み出す成果の割合を示しており、量だけでなく時間の要素を含む。
営利企業の場合は、スループット=お金として計算することができる。
しかし、スループット=お金として計算することは非常になじみやすいため、お金の計算にばかり意識が向いてしまい、本来「スループット」が意味するメッセージが伝わりにくくなっているのが現状である。
以下、私が過去に犯した勘違いと間違ったメッセージの発信への自戒も込めて、スループットについての説明を試みる。
スループットとは、システムが生み出す成果を示していることは既に述べた。
システムが生み出す成果の大きさは、何によって決まるかというと、当然「制約(Constraints)」である。
よって、スループットとは、「システムが制約を通して生み出す成果の割合」と言い換えることが出来る。
すなわち、「スループットは制約で決まる」のである!
これが何よりも重要なポイントである。
制約は現在のTOCの定義に沿えば、「市場」「時間」「キャパシティ」の3つだけであり、その中で一番重要な制約は「市場」である。
当たり前の話であるが、市場すなわち顧客からの注文によって、スループットは向上する。
次の制約は、「時間」か「キャパシティ」である。
「ザ・ゴール」をはじめ「ゴールドラット博士のコストに縛られるな!」、「スループット会計」やその他TOC解説書籍に掲載されているスループット計算の例は、「キャパシティ制約」を前提にしたものがほとんどである。
制約であるキャパシティを最大限に活用するために、どのようなプロダクトミックスで物を作れば良いのか? 新しい市場にチャレンジすべきか? 設備投資をすべきか? などの意思決定を、正しい方向へ導くための計算方法が紹介されている。
一方で、建設業をはじめとするプロジェクト型産業においては、上記の考え方は合致しない。
しかも、もっと単純に考えることができる。
プロジェクトでは、「時間」が制約であるからだ。
スループットは「時間」によって決まるのである。
これまた当たり前の話で「時間」をできるだけ短く使うことによってスループットが向上する。
このようにスループットは制約によって決まるため、TOC導入初期においては、制約を徹底活用するというTOCの考え方に基づいた生産管理ツール(S-DBR、CCPM、SCM)の導入を行うことによって、あらたまった計算などせずとも自動的にスループットは高まる。
わざわざスループット計算に頭を悩ます必要はない。
スループット計算を行うのは、TOC導入の中でも応用編ととらえてもらったほうが取り組みやすい。
スループットは制約で決まる。
スループットを高めるためには、計算よりもまず「制約を通じて管理するのだ」という方針こそが重要なのである。
桂さん、まさにこのとおりだと思います!
>スループットを高めるためには、計算よりもまず「制約を通じて管理するのだ」という方針こそが重要なのである。
投稿情報: 大場(ジュントス) | 2009/05/25 11:14